| 近代フランス版のお勧め |
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近代フランスのピアノ曲の楽譜に関しては、最近では数々の出版社から出て来たので、選択肢が広範囲となったのは喜ばしい限りです。この近代フランスのピアノと言えば印象派として、ドビュッシーとラヴェル等がその代表的な作曲家です。 実は彼等のピアノの指使い(指順)やペダルの使用法は、古典やロマン派とは異なっている為、原典版や輸入版等を用いて演奏するのは困難なのです。それ故、基本的な譜面に丁寧な校訂が加えられた、「原典版+校訂版」の楽譜を購入する選択を、最もお勧めする次第です。 さてドビュッシーの版を選択する場合、歴史的に定評のある物としては安川加寿子氏や井口基成氏による楽譜が在ります。ところが最近では原典版+校訂版の楽譜の中に、非常に扱い易い楽譜が存在します。これがショパン社の「ドビュッシーピアノ作品全集」で、校訂が中井正子氏によるものです。 これはデュラン社版を元にしたとして、何よりも底本が明白にされていますし、更には校訂者が補足した音価やスタッカート、スラー、テヌートは、括弧表示にされているのです。従ってドビュッシーが指使いを書き込んだ箇所は、括弧が無いので明確に判別出来るのです。従って信頼性という面に於いて抜群に良く出来ている楽譜です。何よりも校訂者の作曲家に対する尊敬の念が、随所に忍ばれるのは素晴らしい仕事ではないでしょうか。 しかも補足にも、校訂者による解釈という私見は混ざらず、客観的な見地から補足程度に述べられている為、演奏者の解釈が生かせるのも優れた部分です。 更には指使いに於いても、生理的に自然で尚且つ実用的にされているので、演奏が楽になるに違いありません。 又、ペダルの踏み方に関しても、ドビュッシー特有の響きが活かせる踏み替えにされています。しかもそのペダル記号が読み取り易くて、実用性に優れているのです。 その上に特徴として、楽譜がフランス語で表記され、その横に和訳が付された点が挙げられます。この楽語に対する親切さに関しては、参考にはなるけれども習得には不向きかも知れません。然しながらこの楽語は版によっては巻末に解説として掲載されていますから、楽譜の習得にはこの方が相応しいかも知れないのです。それでも中井正子氏の校訂版は、演奏者にとっては扱い易くて有り難いのではないでしょうか。 既にドビュッシーの校訂楽譜を数種類持っている人にも、この中井正子校訂版は非常に参考になる楽譜です。そこで楽器店の楽譜売り場に出掛けたら、一度手に取って御覧になっては如何でしょうか。 |
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