| 上達する為の選曲 |
|
|
ある意味でピアノ初心者の方は、教則本の「バイエル」だけに固執しない発想も時には必要かも知れません。何故なら従来はピアノの初心者にはバイエルと相場が決まっており、まさにバイエルは初心者の定番として積極的に使用されて来たからです。ところが欠点が多いという理由や、他にも優れた教材が登場したという理由で、現在では使用される機会が少なくなって来たのです。 然しながらそれでも尚実績を見れば、バイエルは現在でも変わらず貴重な教則本であると言わざるを得ないのです。そこでバイエルとツェルニーに対する不評の出処について、これより御説明をして参りましょう。 現実にはピアノの技術を習得する上で、ツェルニーとバイエルに匹敵する程の教材は未だ世に出ていないと考えるべきです。たとえ芸術的訓練ではないと仮定しても、これ程本格的な技術の習得に適した教則本は、現時点ではツェルニーとバイエル以外には存在しない筈です。だからこそ我が国に於いては、バイエルからツェルニーへと進む教育課程が、完璧ではなくても現状では一番に位置付けざるを得ないとして、公に認められ長年教育界に通用している訳です。 従って、ツェルニーやバイエルを感情的に酷評する人がいれば、真っ先に彼等彼女等の職業に注目して下さい。そうです、全員とは言いませんがかなり高い確率で、新しい教則本の企画出版を目論んでいる筈です。これは言わばバイエルからツェルニーへと進む教育課程が、我が国では未だに絶大な権威を誇っている為、市場に入り込みたいのに入れない現実に憤り、商売敵として躍起になって叩いているだけという、売り手にとっては至極当然の現象なのです。 ですからツェルニーやバイエルへの不評を聞いても、そのまま真に受けるのは賢明ではないと自戒すべきで、自分の基準で見て是非を判断する心掛けだけは忘れないで下さい。そんな中でピアノの教師の大部分は、本格的な技術の教材としてツェルニーやバイエルを主に使用させて、他の現代的な斬新な感覚の教材を補助的に併用させるという、比較的柔軟な教材の選定をしている、この現状も理解して下さい。むしろ教師が集まって教材の研究会等を開くシステムが昔から在りますが、こういう教える側からのバイエルに対する賛否両論の方が、教則本に関してははるかに的を得ているのではないでしょうか。 それではこれより発想を転換させる取り組みとして、ヘ音記号を主流にする方法を御説明しましょう。この方法では入門の段階からト音記号とヘ音記号が登場するので、大譜表に慣れて譜面を読む力がたちまち伸びるのです。ところがバイエルの場合、先へ進まない限りヘ音記号は出ては来ないのです。 又、ある意味でピアノの初級者の方は、古典に固執しない方が良い場合もあります。従来に於いては初級者の定番は、ソナチネ等の古典の楽曲でした。このソナチネは、可愛らしい曲なのに古典の形式を踏んでいるし、家庭的な幸福感に包まれているので、誰にでも楽しめるのではないでしょうか? それでもこれを退屈に感じる方は、現代人がテレビ等で慣れ親しんでいるCMの曲やアニメ曲等の楽譜を使用すると、新しい感覚に触れて発想が磨かれるかも知れません。 それでも基本は大切ですから、古典の勉強は併行して継続した方が良いのです。 やはり古典の和声を体得するからこそ、現代の和声に触れた時に斬新な感覚が体験出来る訳ですから、最初はやはり古典の勉強を主にする位で、丁度良いと考えるべきです。特に将来型破りな独創性を発揮したければ、初心者の頃は癖を付けないと称する一種の型にはまる必要があり、教育とは本来そうした基盤を築くものである筈です。従って変な癖を付けない為にも、初級者用の教則本を常時の練習用として、1冊は持つのがお勧め出来るのです。 とは言え、ピアノの初級者から中級者の人には、選曲は困難が伴う作業に違いありません。そこでこの時期には人前で弾く目的で、「レパートリー」を1曲位は用意すると良いでしょう。やはり毎回新曲練習の譜読みばかりが続くと、気が滅入るのも無理はありません。そこで暗譜で(楽譜を見ないで)最後まで完全に弾ける、こうしたレパートリーを1曲か2曲は持つと、ピアノを弾く行為が格段に楽しくなるに違いありません。 この後に中級に入ると、モーツァルトやベートーベン等のソナタが弾ける様になります。こういう大家の古典の曲が弾ける段階に達すると、感激して益々練習に身が入る人もいます。その上で多彩なタイプの曲に、挑戦する柔軟さが大切でしょう。時には目的に合わせて練習曲も活用しながら、TVやCM等の有名な曲に挑戦すると、演奏が上達するかも知れません。 その後に上級に入ると、ベートーヴェンの後期のソナタ(奏鳴曲)、ショパンのノクターン(夜想曲)、ドビュッシー、ラヴェル等、数多くの作品を弾いて、華麗なテクニック(技巧)を習得する様にして下さい。この様に多彩なテクニックと表現により、ピアノの演奏が充実して行くのです。 更にはショパンのエチュード(練習曲)にも挑戦する事になりますが、このショパンは憧れの曲ですから本当に楽しみですね。 ところで先程テクニックの言葉が登場したので、混同されがちなテクニックとメカニックの定義について、ここで簡単に御説明をして参りましょう。 本来、テクニック(技巧)とは次々に繰り出す技であり、これは音楽性と直結しています。ところが実は、指の速度や強度はテクニックではなく、本当はメカニック(機能)と呼ばれるべきものなのです。この様に本来、技術にはテクニックとメカニックの二通りがあるのに、世間ではメカニックの意味でテクニックの言葉が使用され、教則本の世界でも両者が混同されているのです。そこでこのホームページを読んだ皆さんには、是非この両方の言葉の区別を覚えて頂きたいのです。 |
googleニュース
| Google News | ||||||
|

